ハワイで小売ビジネスを成功させるために知っておくべきこと
アロハ!
「ハワイでビジネスを始めたい」—そんな夢を抱いている方は少なくありません。年間約800万人以上の旅行者が訪れるハワイは、日本企業にとって魅力的なビジネス展開の場となっています。今日は、小売ビジネスのプロフェッショナルとして、ハワイでの小売ビジネスの現状と成功のポイントについてお話しします。
ハワイの小売市場—日本企業にとっての魅力
日系企業の進出状況
ハワイには多くの日系企業が進出しており、小売業も一定数存在します。ハワイは日本企業にとって北米市場への足がかりとして重要な拠点となっています。
なぜハワイなのか?

ハワイが日本企業の小売ビジネスに適している理由は明確です:
- 言語・文化的親和性: 日系人やアジア系住民が多い
- アクセスの良さ: 日本から直行便で約7時間という利便性
- 観光市場の規模: 年間約800万人以上の旅行者による安定した需要
- ブランド認知の機会: 提供するブランドやサービスを世界中の旅行者に知ってもらえる可能性
- テストマーケットとしての価値: 本土進出前の実験場として活用可能
ハワイでビジネスを始める—実践的なステップ
1. ビジネス形態の選択
ハワイに進出するビジネス組織の形態としては、「株式会社(C-corporation)」、「LLC(Limited Liability Company)」、「パートナーシップ」、「個人事業主(Sole proprietorship)」などがあります。
それぞれの特徴:
- C-Corporation(株式会社): 所有者である株主と別個の法的存在。大規模ビジネスや将来の資金調達を見据える場合に適している
- LLC(合同会社): 柔軟性が高く、税務上のメリットがある。中小規模ビジネスに人気
- 個人事業主: 最もシンプルだが、個人資産保護の面で課題あり
2. ビザの取得
日本人がハワイに移住してビジネスを始める場合、ビザに関しては、米国にはE-2投資家ビザやL-1駐在員ビザなどがあります。
取得には投資額や雇用条件などが関わるため、詳細は米国政府の公式情報を確認することをおすすめします。
重要なポイント:
- ビザは申請から発給まで半年以上の時間がかかることがあるため、早めの準備が必要
- 投資家ビザの条件は、①ハワイに最低20万ドル以上の投資をしていること、②現地の従業員を複数雇用していること、③収益のあるビジネスモデルがあること
3. 法人設立とライセンス取得
法人を設立したら営業許可を得るため、ビジネスライセンスを取得する必要があり、州の税務局にて申請・取得できます。
ハワイ法人のコスト優位性: 法人設立費用も比較的低コストです。ハワイ州のLLC設立費用は約50ドルで、年次報告費は15ドル程度です。
4. 銀行口座の開設
ワイキキ地区の銀行支店であれば、どこの銀行でも日本担当の行員がいて日本語で対応してくれるため、英語が不安な方でも安心して口座開設が可能です。Bank of HawaiiやFirst Hawaiian Bankなどが主要な選択肢となります。
ハワイの小売市場で成功するための戦略

市場の特性を理解する
ハワイの小売市場には独特の特性があります:
多様な顧客層:
- 地元住民(多文化・多民族)
- 米国本土からの旅行者
- 日本を含むアジアからの旅行者
- その他国際旅行者
季節変動:
- ハワイは年間を通じて気候が安定しているものの、観光のピークシーズン(夏休み、冬休み、ゴールデンウィーク)は明確に存在
- 2024年9月には日本人観光客がコロナ以降最高値の195,460人に達し、今後日本人観光客は徐々に増加することが予想されています
成功のための重要要素
- 立地選定: ワイキキ、アラモアナ、カイルアなど、ターゲット顧客に応じた最適な立地を選ぶ
- 商品・サービスの差別化: ハワイならではの体験価値を提供
- オムニチャネル戦略: 実店舗とオンラインの融合
- 地域コミュニティとの関係構築: 地元住民との信頼関係が長期的成功の鍵
- 文化的配慮: 多様な文化背景を持つ顧客への適切な対応
ビジネス買収という選択肢
新規でビジネスを立ち上げることに比べると、お客様、社員・スタッフ、ライセンス・取引先、ビジネスノウハウ・スキル、賃貸借契約、銀行口座などを引き継げるのが大変大きなメリットです。
既存ビジネスの買収は、以下のような利点があります:
- 即座に収益を生み出せる可能性
- 確立された顧客基盤
- 実証済みのビジネスモデル
- ライセンスや許認可の引き継ぎ
注意すべきリスクと課題

1. 高い運営コスト
ハワイでのビジネスは不動産、物流、人件費などのコストが高くなる傾向があります。
成功のポイントは、立地選び、差別化、オムニチャネル戦略、現地文化への配慮などです。つまり、観光客だけでなく現地の顧客にも目を向けた運営が重要です。
- 不動産賃料の高さ
- 人件費(最低賃金が高い)
- 物流コスト(島嶼部ゆえの輸送費)
2. 法規制の複雑性
企業が外国で経済活動を営むためには、現地の経済関連法令、労働法、会社法等の法令の理解が必要です。専門家(弁護士、会計士)のサポートが不可欠です。
3. 人材確保の課題
質の高いスタッフの確保と定着は常に課題となります。特に日英バイリンガル人材は競争が激しい状況です。
4. 観光依存リスク
観光市場への依存度が高い場合、パンデミックや経済危機などの外部要因による影響を受けやすくなります。
小売コンサルティングの重要性

ハワイでの小売ビジネスを成功させるには、現地市場の深い理解と実践的なノウハウが必要です。以下のような専門的サポートが成功確率を大きく高めます:
市場調査・分析
- ターゲット顧客の特定
- 競合分析
- 立地評価
- 価格戦略の策定
オペレーション最適化
- 効率的な在庫管理
- スタッフ教育・研修
- 顧客体験の設計
- デジタル化の推進
法務・財務サポート
- 法人設立支援
- ビザ取得サポート
- 会計・税務アドバイス
- コンプライアンス対応
マーケティング戦略
- ブランドポジショニング
- 多文化マーケティング
- SNS活用戦略
- PR・メディア対応
まとめ—ハワイでの小売ビジネス成功への道筋

ハワイは日本企業にとって、文化的親和性が高く、アクセスも良好な魅力的な市場です。しかし、成功には綿密な準備と現地の実情に即した戦略が不可欠です。
成功のための5つのポイント:
- 十分な資本と時間的余裕: ビザ取得や立ち上げに予想以上の時間がかかることを想定
- 専門家との連携: 弁護士、会計士、コンサルタントなど信頼できるパートナーの確保
- 市場理解の深化: 机上の調査だけでなく、実際に現地で時間を過ごし、市場を肌で感じる
- 柔軟な戦略: 当初の計画に固執せず、市場の反応に応じて柔軟に調整
- 長期的視点: 短期的な利益よりも、持続可能なビジネスモデルの構築を優先
当社では、ハワイと日本を結ぶ架け橋として、小売ビジネスの立ち上げから運営まで、包括的なコンサルティングサービスを提供しています。150年以上にわたる日本とハワイの歴史的つながりを大切にしながら、次世代のビジネス成功を支援してまいります。
ハワイでのビジネス展開をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
参考文献:
- 外務省「海外進出日系企業拠点数調査 2021年調査結果」
- マークリサーチ「ハワイで起業するなら知っておくべき、7つのステップ」
- RSM汐留パートナーズ「ハワイで起業する形態について」
- ハワイビジネス情報館「ハワイで起業するための投資・買収・M&A情報」
マハロ for reading! 次回は、ハワイにおける生花ビジネスと日本文化教育の可能性についてお話しします。
